ダイブ・イントゥ・ザ・ムービー
~EXOFIELD THEATERで浸る映画の世界~

XP-EXT1 / JOKER ジョーカー 2020.November

XP-EXT1 / JOKER ジョーカー
公式サイト

前回に引き続き、ワイヤレスシアターシステム「EXOFIELD THEATER(エクソフィールドシアター)」XP-EXT1の唯一無二の立体音場サウンドをご紹介したい。

前回の連載でも触れたことだが、一般的なヘッドホンは、右耳、左耳のそれぞれ近接した位置にドライバーが個別に装着されることで、頭の中に音楽が定位する「頭内定位」という現象が不可避である。その結果、ポップスを聴けばヴォーカリストが前方にではなく、頭の中に居ることになる。これを解決しようとこれまで各社が取り組んできたのは、デジタルプロセッシングによる擬似的な信号処理などだったが、それでもスピーカーで聴くような感覚には程遠く、サラウンド再生ともなればなおさら厳しかった。

JVCケンウッドの「EXOFIELD THEATER」は、集音用マイク内蔵のヘッドセット(ヘッドホン)を装着したユーザ自身の実測データをもとに、膨大な数の頭部伝達関数の実測データベースから、ユーザにマッチするデータを組み合わせ、最適な音響効果を生み出すよう設計されている。詳細は同社HPを参照いただきたいが、その効果には目を見張るものがある。今回は最新の映画、ホアキン・フェニックス主演でアカデミー賞主演男優賞を獲得した「ジョーカー」を用い、その絶妙な立体音場効果をドルビーアトモス再生でレポートしたい。

XP-EXT1 / JOKER ジョーカー

「ジョーカー」は、MARVELコミックの人気キャラクター、バットマンの敵役であるジョーカーを主人公としたスピンアウト作品。社会から疎外された悲しき道化師の男アーサーが、彼自身の中に眠る凶暴性をいかに発露させていったかを描いたヴァイオレンス作品だ。結末は決してハッピーではなく、むしろ絶望的なので、まだ観たことがないという方は、自身の体調やメンタル面に留意した上でご覧いただきたい。

さて、XP-EXT1の装着に関しては、事前のセットアップが必要だ。ただし、それは至ってシンプル。付属のケーブルを使ってプロセッサーとヘッドホンを結線し、ヘッドホンを頭に装着した状態でテスト信号を再生する。2分足らずで計測と演算処理が完了し、立体的な音場再生が可能だ。この時、専用アプリをスマホやタブレット等(iOSやAndroid対応機)にあらかじめダウンロードしておき、プロセッサーとBT接続で連携させる必要がある。

「ジョーカー」の物語の冒頭、事務所の鏡の前でピエロに扮するべく化粧するアーサーが背後から映し出される。カメラが次第にアーサーをクローズアップしていく過程で、室内にあるテレビの音声、パトカーや救急車のサイレン、車の走行音やクラクションなど、さまざまな暗騒音がグルッと取り巻くように再現される。画面の状況の何気ない臨場感がとてもクリアーに提示されたことに私は驚かされた。

場面はやがて街中の楽器店の閉店セールのシーンに切り替わる。看板を掲げて滑稽に踊るピエロのアーサー。ここでもラグタイム・ピアノの響きと、街中を歩く人々の話し声の様子が立体的に交錯する。そこに悪ガキどもがいたずらを仕掛け、アーサーがそれを追い掛ける。転んだアーサーが連中に暴行された時、歪んだチェロのメロディーが物悲しく流れる。

もうひとつ印象的だったシーンは、真っ赤なジャケットを着たアーサーが階段の踊り場で舞い踊る場面。バックで流れる音楽のビートの激しさ、リズムのワイルドな感じが実にダイナミックに再現された。張り込んでいた刑事たちに追い掛けられ、地下鉄へと逃げ込む場面でも、タクシーのクラクションや追突時の衝撃音、地下鉄車内の雑踏などが立体的に広がる。それが横方向だけでなく、ドルビーアトモスらしく縦方向の音の存在感もしっかり感じ取れたのが素晴らしかった。

XP-EXT1は、こけおどし的な音は決して出さない。自然な臨場感をパーソナルに実感できるスマートなコンポーネントである。

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