ダイブ・イントゥ・ザ・ムービー
~EXOFIELD THEATERで浸る映画の世界~

XP-EXT1 / SP 野望篇 2021.January


公式サイト

ヘッドホンで7.1.4chまでのサラウンド再生を可能にしたJVC「ワイヤレスシアターシステム EXOFIELD THEATER(エクソフィールドシアター)」XP-EXT1。これを使用して実感したのは、映画におけるセリフ・効果音・音楽の要素、その原音と定位を忠実に聞かせてくれるシステムだということ。「じゃあ、このヘッドホンで自分が制作したBDソフトを視聴したらどうなる?」という遊びゴコロに駆られた僕は、とびきり音にこだわった1枚をプレーヤーのトレイに載せた。それが2011年リリースの『SP 野望篇』だ。

「セリフではなく、登場人物たちの行動でドラマを語る」ことを命題に掲げたドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」は、直木賞作家・金城一紀によるオリジナルストーリー、主演の岡田准一自らが演じる斬新なアクションの数々が大きな反響を呼んだ。そして物語の最終章をドラマを超えたスケールで描くべく、実に3年がかりで映画化したのが『SP野望篇』『SP革命篇』の二部作である。

都内で多発するテロに翻弄される警視庁警備部警護課のSP=Security Police・井上薫(岡田准一)は、事件の背後に上司・尾形総一郎(堤真一)の存在を感じとっていく。この二人の関係は、言うなればルーク・スカイウォーカーとダース・ヴェイダーのそれであり、ドラマ版から続く『野望篇』の位置づけ自体も、同じくエピソードVである『帝国の逆襲』的だ。そして物語は、国会議事堂がテロリスト集団に占拠される『革命篇』で大団円を迎えることになる。

この『SP野望篇』の音響制作は、あのジョージ・ルーカスが設立したスタジオ、スカイウォーカーサウンド(SWS)で行っている。サウンドデザインを手がけたのは『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』のトム・メイヤーだ。筆者はBD制作のみならず撮影初日から現場に密着し、その模様をTwitterでリアルタイムで発信するという邦画初のプロモーションを行っており、SWSでの音響制作現場にも参加している。

日本の撮影現場で収録されたセリフと現場音に、SWSで響きや定位が加えられ、より映像と一体化するようミックスされていく。さらにアクション場面の足音やスーツの衣擦れ、格闘場面の鉄パイプやナイフの風切り音など、現場で収録できない音はフォーリーと呼ばれるスタッフが新たに録音している。こうした素材にSWSの膨大なライブラリーから選ばれた効果音がミックスされ、ハリウッド的な派手さと『SP』らしいリアリティを見事にバランスさせた6.1chサラウンドEX音声が完成した。BDにはDTS-HDマスターオーディオ仕様で収録したこの音声を、XP-EXT1でNeural:Xにアップミックスして、久しぶりに本作を試聴してみた。

チャプター1、六本木ヒルズが爆破されるシーンでは、爆発音の力感が圧倒的だ。チャプター2、渋滞の車列を井上が飛び越えていくシーンでは、走る足音や車の屋根が凹む音などの定位と響きがリアル。街中の人々のガヤも自然な距離感。チャプター5、走るトラックの荷台での格闘シーンでは、特殊警棒と鉄パイプの風切り音と激突音が身体に響く。小さくミックスされたエンジン音と風切り音も生々しい。

チャプター11、テロが起こる広場に降る雨音は、重たいものから乾いたものまで、SWSの膨大な効果音のライブラリーから選ばれたもの。チャプター14からのテロリストの波状攻撃では、足音、衣擦れ、格闘音、銃声やボウガンの矢など、無数の効果音が緻密に音場に配置されていることを再確認、改めて舌を巻いた。

そしてチャプター17、井上がテロリストの気配を察知するシーンでは、カメラの360°パンにあわせて、井上の超感覚音も音場をぐるりと回る。こうした目に見えない「気配」の効果音までも随所に加えることで、よりドラマチックなサウンドを構築していくのが、SWSでの作業に参加して感じた驚きだった。

今回のXP-EXT1での視聴では、筆者はSWSでの完成試写を思い出していた。座席数300以上を誇る試写室・スタッグシアターは、世界最先端の映画音響システムが備わっており、クリエイターたちの意図した音像・音場を正確に上映することができる。ここで初めて『SP野望篇』が上映された際に、360°から迫り来るサウンドに圧倒されたのだ。このヘッドホンで、あの時の感動が追体験できるとは!劇場サイズの音を聞かせてくれるXP-EXT1に、ますます魅力を感じた鑑賞体験だった。

さて次は何を観ようかな?お楽しみはまだまだこれから、だ。

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