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~EXOFIELD THEATERで浸る映画の世界~

XP-EXT1 / GODZILLA 怪獣惑星 2021.March


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2016年。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の庵野秀明監督が、盟友・樋口真嗣監督とタッグを組んだ『シン・ゴジラ』が公開された。「現実(ニッポン)対ゴジラ(虚構)」という刺激的な宣伝コピーが語る通り、現代日本に身長118mの「ゴジラ」=「災厄」が襲来したら何が起こるのかを、膨大なディテールを積み重ねてシミュレーションしつつ、「人間の底力こそが希望を勝ち取る」というポジティブなテーマを閉塞した日本に叩きつけ、特大ヒットを記録した。

そして2017年、『シン・ゴジラ』に続くシリーズ第30作として、初の長編アニメ映画『GODZILLA 怪獣惑星』が公開された。本作は三部作の第1章となり、続く第2章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』と第3章『GODZILLA 星を喰う者』を通して、生態系の頂点にゴジラが君臨する二万年後の地球を舞台に、人類とゴジラの攻防戦が描かれるハードSF作品になっている。シリーズの王道は『シン・ゴジラ』に任せ、アニメでしか描けないゴジラ映画の創造に挑んだ、まさに野心作と言えるだろう。

キャストには宮野真守、花澤香菜、櫻井孝宏、梶裕貴といった超人気声優が勢揃い。先に収録されたセリフにあわせてアニメーションを作画する「プレスコ」方式で制作され、キャラクターの芝居と声の演技の相乗効果がさらに高められているのも本作の特徴だ。

監督は劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢』の静野孔文と『BLAME!』の瀬下寛之で、ストーリー原案と脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』の鬼才・虚淵玄(ニトロプラス)。そしてアニメーション制作は『シドニアの騎士』『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』のポリゴン・ピクチュアズが務めている。

音楽は『ゴジラVSスペースゴジラ』『ゴジラ2000 ミレニアム』でもシリーズ作品を手がけた服部隆之で、この2作を遙かに凌ぐ荘厳なスコアを聴かせる。ちなみに筆者もBD&DVD制作はもとより、公開に向けた宣伝の時点から本作に参加している。

本作のBDは2K SDR収録でリリースされたが、その映像はUHD BDに匹敵する精細感とダイナミックレンジで観る者を圧倒する。ゴジラの熱線や宇宙船のバックファイヤなどの強い光に発生するフレアや、ゴジラ出現時の砂塵など、圧縮の大敵が頻出するにも関わらずバンディング(階調破綻)が皆無なことに、BD制作を務めた筆者自身も感嘆したほどだ。

それではTHX pm3認証を取得したソニーPCL社のAudio Mastering Roomで追い込んだ5.1ch DTS-HD Master AudioサウンドをXP-EXT1で再生してみよう。せっかくなので5.1ch音声をイマーシブサラウンドにアップミックスする「DTS Neural:X」再生になるよう、「Surround Setup」メニューから「Neural:X」をONにしておく。

CH18「セルヴァム襲来」。ジャングルの木々をなぎ倒しながら、ラドンを思わせる翼竜・セルヴァムの群れが調査隊のキャンプを襲う。音場左から甲高い叫び声を上げながら迫り来る群れと、重火器の量感たっぷりな発砲を喰らった死体が、調査船にズズズン!と落下する。

CH21「動態反応」~CH22「熱線」。調査船のブースター音に反応し、遂にゴジラが出現。地上の戦車隊や揚陸艇の重量級の移動感も驚くべき量感だが、やはり白眉は「ゴジラ」だ。52分43秒の地響きの如き足音、そしてゴジラの咆哮はヘッドホン再生であることを忘れさせる重低音。

CH24「誘導」。『スター・ウォーズ』のスピーダーバイクの如き、ホバーバイク部隊がゴジラに空中から奇襲をかける。猛スピードで飛び抜ける者、バリバリとマシンガンで攻撃を加える者、ゴジラに撃墜される者・・・Neural:X再生では、無数のホバーがめまぐるしくドーム型音場を駆け抜ける。軽快なその飛行音と絶大なコントラストとなるのがゴジラの足音と、音場を鋭く重く切り裂く熱線だ。

CH26「破壊の王」。ゴジラの怒りは頂点に達する。立ち上がる巨躯は300メートルを超え、身長118mだった「シン・ゴジラ」など赤子のようにひねり潰せる巨大さだ。そこからの展開は凄まじいなんて言葉が陳腐なほどの絶望感。尻尾を振れば衝撃波で周囲の森が蹴散らされ、熱線があらゆるものを消滅させる。そしてゴジラの勝利の雄叫びは、まさに脳天に突き刺さるような音圧だ。

このヘヴィ級のサウンドをスピーカーで楽しむには、正直かなりの規模のサラウンドシステムが必要だろう。実は初号試写の際には、劇場のサブウーファーの再生音が音圧に耐えきれずに割れていたほどだ。しかしXP-EXT1での再生なら、身体を揺るがすサラウンド音響を余すことなく楽しむことができる。本作のBD制作ディレクターとして、これほどうれしく、ありがたいことはない。

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